元活字中毒主婦の身辺雑記

日常の細々したことなど。

メキシコから帰ってきた弟の話

先月のはじめ、実家に寄ったら、いきなり弟がいてびっくりした。メキシコの日本料理店で働いていたが、辞めて帰国したとのこと。メキシコの話はおもしろかった。

 

餃子の皮が高級品

わざわざ輸入していたそうだ。びっくりするくらい高額。それをメキシコ人スタッフがくすねて首になった。それで、スタッフを集めて、小麦粉で簡単に作れるよ、とやって見せたら「トルティーヤ作るより簡単。こんなもの盗んで首になるのはバカ」と、みんな大笑い。でも、経営者側からは「要らないことするな」と言われた。

 

鶏ムネ肉も高級品

モモ肉よりムネ肉の方が高い。なぜならムネ肉は見た目が綺麗だから。日本と違ってモモ肉はハサミでブツ切り状態だから見た目が汚い。モモ肉を仕入れて綺麗に処理したうえでメニューに出したら大好評。これまた、経営者側からは「高級店でモモ肉料理なんか出すべきじゃない」と言われた。

 

治安

スタッフから、家でパーティーをするからシェフも来ませんかと誘われて行った。帰り際、「危ないから送る」タクシーに乗るから大丈夫と言うと「ここは治安が悪いからタクシーは呼んでも来ない。来るとこまで送る」メキシコ人スタッフは、そんなとこに住んでる。

 

「バンド」という音楽のジャンル

パーティーにはバンドがつきもの。近所の楽器が弾けるおじさん達に謝礼を払ってきてもらう。即席でバンドを組んで演奏する。管楽器がメイン。アマチュアのレベルの高さと層の厚さがすごい。もちろんプロもたくさんいて金持ちはプロに頼む。

 

メキシコ人気質

靴はいつもピカピカ。靴磨きがたくさんいる。女性もよく磨かせている。半分は施しなので仕事が雑でもそんなに文句は言わない。人に施すことで自分に良いことがあると信じている。カトリックの教え?  また、メキシコ人男性は「知らない」を言わない。そう言うのは恥。

 

治安の悪さ

弟が住んでいたのはわりと治安の良いところだが、近所の家に強盗が入った。でも、警察は動かない。被害者が防犯カメラの映像をフェイスブックにあげると「これは※町の○ってやつ」と書き込みあり。数日後「強盗は死にました」というメッセージと共に天使の動画がアップされてた。警察が仕事をしないのでリンチが横行。

 

死生観の違い

店で仕事中にスタッフが「シェフ、これ見てください」とリンチ画像を見せてくる。悪意はない。悪い奴が殺られた喜びを分かち合うという感覚。メキシコ大地震の時、街には死体がごろごろしていた。テレビでもモザイクなしで報道される。死体や死そのものに関する感覚の違いを感じる。

 

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貧富の差について、白人・日本人・メキシコ人の関係について、政治についても、色々語っていたが、3年程度の滞在だし、弟自身が「ちょっと長めの物見遊山だった。メキシコに骨を埋める覚悟の人とは違う」と言っていたので、ここには書かない。

 

弟は、メキシコ地震での光景が相当ショックだったようだ。「ストレスで髪が抜けて生えてこなくなった」と言っていた。これからどうするのかと思ったが、すぐに新しい仕事を決めて働いている。手に職あると自由に生きられるもんだな。

 

クリスマスまであと九日―セシのポサダの日

クリスマスまであと九日―セシのポサダの日

 

季節外れですが、メキシコのクリスマスを描いた絵本です。主人公の少女セシはかなり裕福な家の子。