先週火曜日、祖母の三十三回忌に出るために実家に行きました。父の姉二人も家族と共に来てくれました。伯父は数年前に癌の末期だと言われていたのに回復して、少し足腰が衰えていましたが元気でした。認知症気味の伯母もこの日はしっかりしていました。伯父伯母だけでは外出が不安なためか珍しく従妹もついて来ていました。もう一人の伯母はもう九十で、こちらも従兄が連れてきましたが、未だにかくしゃくとしていて、さすがだなあと思いました。皆、高齢なので、法事で集まるのはこれが最後だと思います。
読経が終わったあと、住職が宇都宮の自殺老人の話を始めて、(これ、なんかお説教につなげるのかな? あんまり趣味よくないと思うけど)と困惑しながら聞いていたら、「いやあ、怖い話ですよね〜」と終わって、ほんとにただの雑談だったのでびっくりしました。
住職が帰ったあとは、皆で食事をしました。昔も父の二人の姉は、こうやって法事に来ていました。それぞれの配偶者に、子供、そのまた子供達.....と大人数で、よく集まったものです。その度に母がきりきり舞いしていたのもあり、私は法事が嫌いでした。子供にとって親戚との会食はおもしろいものではなく、たいてい台所で洗い物をしたり、別室で歳が近い従妹と話したり、こっそり一人で本を読んだりして過ごしていました。
あのころに比べたら人数も減ったし、みな年老いて寂しくなりました。伯父伯母達はもう畳に座ることはできず、みな椅子に座ってもらってテーブルでご飯をいただきました。それぞれの近況を話したり、祖母にまつわる昔話をしたり。それは思いがけなく楽しい時間でしたが、朝から少し体調が悪かった私は、途中で具合が悪くなって退席し別室のベッドに横になって過ごしました。情けないような残念なような気持ちで、かすかに聞こえる皆の雑談や笑い声を耳に、毛布に包まりながら目をつぶってじっと丸くなっていました。伯母達が帰るのを見送る際に起きたあとは、車の運転ができそうになるまで休ませてもらって、途中の駅で弟をおろして自宅に帰りました。
今回は、お正月以来に下の弟と会いました。上の弟と同じく(ジャンルは違いますが)彼も職人です。上の弟は異国の地で板前として働いています。先日はまとまった金をぽんと仕送りしてきたらしく、母が「こんなに送って無理してるんやないやろか」と心配していましたが、オフタイムにはボクシングジムに通ったりスペイン語を習ったりして楽しくやっているようです。下の弟も、週のうち半分は全国に出張して後進の指導にあたりながら、若いころから趣味でやっているサックスも続けていて、アマチュアバンドに入って定期的にお店で演奏をしたりと、こちらも公私ともに充実している様子でした。
父から「お前は三人の中で一番出来が悪い。なんのとりえもないから公務員にしかなれなかった」と言われたことがあります。当時はむっとしましたが、今は、まあ真実ではあるなと思います。そんな私も、なぜかヘルパーと塾講師の二足のわらじを履く身になりました。職人とはちょっと違いますが。保育士の筆記試験も通ったし、娘と一緒に英語の勉強を再開しようと思ってます。保育士は給料が安いけれど、英語ができる保育士だと、少しは稼げるんじゃないかしら。甘いかな。なんにしても子供相手の仕事は楽しいです。自分が子供好きだとは全然思っていませんでした。人生は長い。まだこれから何が起きるかわからないです。
- 作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,中村能三
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/12
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
テレビでポアロものがあっていて「ホロー荘の殺人」でした。ポアロやミスマープルのシリーズは、テレビで題名を見ても(あれ? どんな話だっけ)と思うのものが大半です。その中で、この作品はよく覚えていました。ミステリーというより恋愛小説のような話で、クリスティ自身「ポアロを出さなければもっと良い作品になった」と言っていたそうです。テレビドラマでは私が好きだったミッジとエドワードのエピソードや、ラストシーンがカットされていてがっかりでした。もう一度原作を読み返したい気持ちになりました。
クリスティのテレビドラマのことは以前にも書きました。