武田百合子を知ったのが先か、その娘の武田花を知ったのが先か、もう忘れてしまいました。昔、落ち込んだ気分の時に武田百合子の文章を読んで元気を出していました。もっと落ち込んでいる時は武田花の猫の写真集を眺めてぼんやりしてました。
それも、もう10年、いや20年くらい前のことです。部屋の整理をしていたら『日日雑記』が出てきたので久しぶりに読みました。なんということもない日々のあれこれを書いているだけなのに、おもしろい。よくこんなに詳細に観察して記憶しているものだと感心します。でも読んでいて、昔のように(元気がでるなあ)という気分にはなれませんでした。正月のデパートの様子などに時代を感じ、夫や友人、飼い猫など、親しいものが弱ったり亡くなっていく描写に切なさを感じてしまう。私自身が年をとったせいかもしれません。
この本で武田百合子が生きている世界は、昭和の終わり頃です。それは平成も終わろうとしている今から見ると遠い昔の話で、その空気感が懐かしく、なぜか泣きたい気持ちになりました。疲れてるのかな、自分。
この人の猫の写真集が好きでした。友達に譲ってしまい今は手元に一冊もありません。いつでも買えると思っていたのに『眠そうな街』は品切れみたいです。猫も室内飼いが主流になってきたし、そのうち野良猫も減っていくのかなあ。
検索してたら、武田花のインタビューがありました。おもしろかった。