この夏は異常な暑さで、相当きつかった。庭仕事どころか日常の家事さえやっとの思いでこなす日々で、ブログを書く気分になれなかった。ようやく過ごしやすい気候になったが、もう十一月。秋がないまま冬が来るのだろうか。久しぶりに書くのに楽しいネタではないが、自分の気持ちを整理するために。
六月に頼んだ着物と羽織の仕立て直しができたという連絡があったので、先日取りにいってきた。私は展望が暗い性格なので、(あまり期待してるとがっかりするから。がっかりすること前提でいこう)と意味のない覚悟を決めて取りに行った。しかし、想像以上にがっかりしてしまった。着物と羽織を直したが、羽織の出来上がりがショックすぎて、着物の方はまだよく見ていない。
母から譲り受けた着物の中で一番好きな柄。元々は祖母が自分で仕立てたと思われる小紋の着物だった。悉皆屋で「どうやっても裄丈が短いし着丈も足りない。仕立て直しは無理」と言われ、他の生地を継いで対丈で着るようにできないか呉服屋に相談した。できないことはないが羽織にすることを勧める、裄丈も問題ない、と言われてお願いしたのだ。
今回洗い張りして仕立て直した結果、何箇所も布が薄くなり小穴が空いている。それをそのまま仕立ててあった。特に、背中の一番目立つ部分に穴があり裏から布を当ててあるのがはっきりわかる。これを着るのは勇気がいる。紬や木綿なら家で着ればいいが、絹物なので外出着だし。洗い張りで布地が傷む危険はあるとは思っていた。でも、これほど傷むなら洗い張り前に「これは無理」と断って欲しかったし、せめて洗い張りが終わった時に、このまま仕立てていいか聞いて欲しかった。
結局、私と呉服屋の意思の疎通がうまくいってなかったのだと思う。他で無理と言われたものを持ち込むのだから…と苦心して作ってくれたのかもしれない。和裁士からのメモがあって「元々は羽織を着物に仕立て直したものだった、工夫して仕立てたので、今一度の洗い張りは不可能」と書いてあった。まさか羽織だったとは知らなかった、相当苦心されただろう申し訳ないという気持ちと、そこまでして無理やり仕立ててほしくなかったという気持ちが半々。祖母が縫った手をほどいたのに、着る気分になれない羽織ができてしまって正直落ち込んでいる。
自分で着付けもできず、着物で外出したこともない超初心者なのに、初めて行く呉服屋に仕立て直しを頼んだのが間違いだった。今回、着物の仕立て直し分は弟が出してくれた。そのうえに羽織るのにちょうどいいと思っていた。でも「こんなに綺麗にできたよ」と見せに行く気にならない。悲しい。
とはいえ、これで着物に懲りて諦めてしまうのはもったいない。涼しくなったし、これから色々着てみるつもり。この羽織も着物の上から羽織ってみれば「そう目立たない」と思うかもしれないし。羽裏や八掛を新しくしたので、古い布地がたくさん返ってきた。かなり汚れている部分もあるけど、綺麗なとこも多い。これでなにか作ろうかな。以前実家から持って帰った端切れもまだたくさんあるし、なにか小物を作って片付けていこう、小さくても気に入ったものができれば気持ちが明るくなる気がする。先日、胴裏で下着を作ったので、その話もブログに書こうと思う。
祖母も母も娘も器用なのになぜか私だけ不器用。でも人一倍手仕事への憧れがあって、老後の趣味を手芸にしたいという野望がある。気分上げるためにまた手芸本を買ってしまった。この二冊。これなら私でもできるかも?とほのかな希望を持っているんだけど。