この間、DVDを買ったので。いつ見てもグロリアがかっこいい。
組織の会計をしていた男が資金を横領した上、情報を売っていたことがバレ、一家もろとも殺された。生き残った少年フィルを、偶然居合わせたグロリアがいきがかり上預かる羽目になってしまう。しかし、証拠を記した手帳を持っていたことを知った組織は、二人を執拗に追い詰める。グロリアとフィルの必死の逃避行が始まった・・・・(Amazon作品紹介文より)
「レオン」の元ネタと言われてるそうだ。シチュエーションが似てるらしい。私はレオンを見てないのでなんとも言えないが。
ネットを見てたら、「レオン」に比べて子役が可愛くないという感想が多い。え〜そうかなあ。どうしようもなく怯えてるくせに一人前の男ぶる、幼くて、分からず屋で、全然言うこと聞かなくて、イライラさせられる……めちゃくちゃ可愛いじゃないですか。父親の最期の言葉(Be a man. Always be tough. Don't trust anybody.)を胸に刻んでいるのか、当初グロリアと行動することを拒否するシーン。
I am the man.
Do you hear me?
I am the man. I am the man. Not you.
You are not the man. I am the man.
I'll do anything I can. I am the man!
家族全員を失ったばかりの幼い男の子が、恐怖や悲しみ、混乱の中、身振り手振りを交えて精一杯虚勢を張る……いじらしいったらありゃしない。そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!早く逃げなきゃ!バカなのか? あ〜もう‼︎ ではあるんだけど。
テンポが悪い、途中グダグダという感想も結構あった。そこがリアルでいいのに。ジーナ・ローランズがグロリアを演じているんじゃなくて、グロリアというカッコいい姐さんが実在してる、って感じがする。
逃避行の途中、ピッツバーグの墓地に向かう二人。どれでも好きな墓石を見つけて家族に別れを告げろ、とフィルに言うグロリア。家族はここに居ないよ? というフィルに対して、
Gloria :All dead people stick together anyway. I't doesn't make any difference.
Gloria :Dead people are… I’ts like…
Phil :What’s it like?
Gloria :Like a ship.
このシーンって、ラストにつながっていくんだよなあ……名台詞、名シーンが多くて、次の展開を知ってるのに、いや知ってるからこそ、楽しめる。全然明るい映画じゃないのに、気が滅入った時に見たくなる。なんでだろうな。
Gloria :You can’t beat the system.
Phil :What’s the system?
Gloria :System? I don’t know.
Phil :Then how do you know you can’t beat it?
このやりとり。なんか泣きたくなってしまう。ラストシーンは一見ハッピーエンドなんだけど、以前カサヴェテス自身が、「彼女は死んでいる」と言っているのを何かで読んだ……と思っていたら、映画化はされていないが、グロリアとフィルが再会する続編のシナリオがあるらしいし……どうなんだろうな。
子供の頃、テレビで刑事コロンボシリーズがあっていた。「黒のエチュード」(カサヴェテスが犯人役)や「ビデオテープの証言」(ジーナ・ローランズが犯人の妻役)も見た記憶がある。当時、この二人のことは知らなかったけれど。映画制作費を稼ぐために出演していたんだろうな。「グロリア」では「組織」のことを「system」と言っている。これはハリウッドの商業主義を指しているんだという記事も読んだ。まあ本当かどうか知らんが。そうだとするとフィルはカサヴェテスでもあるのかな。
グロリアのファッションも映画の見どころ。上記サイトに写真多数。彼女の若い頃の写真も。めちゃ綺麗。