元活字中毒主婦の身辺雑記

日常の細々したことなど。

橋本治さんが亡くなった

随分若い頃、よく読んでた。この頃、また本を少し読むようになって、本屋で『九十八歳になった私』を見かけた。パラパラ立ち読みして(まだまだ元気なんだ。あいかわらずの語り口だなあ)と懐かしく思ったばかりだ。

 

九十八歳になった私

九十八歳になった私

 

 

とにかく多才な人で、え? こんな本も出しているんだと思うことが多かった。『男の編み物 橋本治の手トリ足トリ』はインパクトがあるセーターがたくさん載っていてすぐ買った。着たいとは到底思えなかったけど眺めていて楽しい本。すごく器用な人なんだなと驚いた。まあ、名を上げたのが東大のポスターなんだから当たり前か。他にも、たしか折り紙の雑誌でエッセイを読んだ…と思って検索したら雑誌「をる」創刊号に「四千羽の蝶」というエッセイを寄せていた。人にまかせて雑な仕事をされると嫌だから自分で折った、という趣旨の記述と折り紙の写真が載っていた気がするが、四千羽の蝶を折ったということなのか…よく覚えていない。

 

『鞦韆』というエロティックな小説を職場で読んで、読み終えたから後輩の女の子に「読むならあげる」と渡すと「いつもこんな本ばっかり読んでいるんですか?」といわれたこともあったっけ。

 

鞦韆(ぶらんこ) (新潮文庫)

鞦韆(ぶらんこ) (新潮文庫)

 

 

桃尻語で有名になって、桃尻語訳の「枕草子」などを出していたが、それほどおもしろくなかった。おじさんが若ぶってるくらいに感じていた。沢木耕太郎との対談集だったかで、原田知世の良さが分からない(うろ覚えです。勘違いだったらごめんなさい)ようなことを書いていて、やっぱりおじさんだなあと思った。今思えば世代ではなくて単なる好みの問題なのかも。桃尻語訳の「枕草子」には興味がわかなかったけど、源氏物語は好きだった。文章が美しくてうっとりした。

 

窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫)

窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫)

 

 

自分よりずっと年上なのに、なぜだか、まだまだ元気でずっと本を書いていくんだろうと思っていた。だから夜のニュースで亡くなったのを知ってショックだった。ネットをさまよいながら、インタビューやエッセイを見つけては読んでいたら、筑摩書房のPR誌の連載エッセイが目に止まった。

 

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私は、それほど熱心な読者ではなかった。特にここ10年ほどは全く読んでいない。それでも、

人が立て続けに死んで行くニュースに接して、改めて「あ、一つの時代が終わるんだ」と思った。

そう書いてた当人が亡くなってしまったのだと思うと、急に悲しくなった。ご冥福をお祈りいたします。