一昨日、古本屋で購入しましたが、実はもっと古い昭和31年発行の本を前から持っています。収録作のうち「錦の中の仙女」だけ読んで本棚に並べてました。
(左が元から持っていた本。右が今回購入本で、奥付に「昭和43年第8刷」とありました。)
以前、この本を買ったきっかけは、高畑勲がエッセイで、「錦の中の仙女」に言及しているのを読んだからです。なんて書いてあったかはよく覚えてないけれど。調べたら私が読んだのは「図書614号〜特集 岩波少年文庫」 だったことがわかりました。また、高畑勲は別著書の中で「この作品をアニメ化しようと思ったことはない。聞いたり読んだりして自分の頭で想像するほうがわくわくするから」といった趣旨のことを書いているみたいです。
さて、この本には中国の民話18篇が収録されています。読んでみて、編者が「はしがき」に述べているように、長い年月の間に錬られて洗練されているなと思いました。特に表題となった「錦の中の仙女」は別格に美しい話です。だいたいのあらすじはこちらを見るとわかりやすいです。
www2.nhk.or.jp(動画もあります。「NHK for Scool」は充実してるなあ)
(追記:以前は上記リンク中の「おはなしのくに」という番組内に「錦の中の仙女」の動画があったのですが、今は消えているようです。残念。下記サイトであらすじが読めます。)
老婦人が、自らの目から滴り落ちる涙の上に小川や養魚池を、血が滴り落ちる上には太陽を織りだすといった描写や、とび去った錦を取り戻すために息子が自分の歯をたたき落として大きな石の馬の口にほうりこむと、馬が動きだしてヤマモモの実を食べ、火の山や氷の海を駆けるという展開など、細部まで色々と興味深かったです。
以前も書いたように、私はよく整ったお話よりも、不条理な「え? なんなのこの話」というもののほうが好きです。
『錦の中の仙女』は、「錦の中の仙女」のような整った話から、数ページ足らずの小話、古い小説を民話化したものなど、様々な作品が収録されていて大満足でした。巻末の作品ごとの解説も詳しくておもしろいです。品切れなのが残念。ぜひ復刊してほしいものです。
ヘルパーをしていた頃、移動中の車の中で、よくラジオを聞いていました。「昔話へのご招待」という番組があって、おもしろいんだけど、ちょうど昼時なので仕事中のことが多く、全部聞けずに残念な思いをすることが多かったです。