元活字中毒主婦の身辺雑記

日常の細々したことなど。

激甘のすき焼き/美味しいねという言葉

昨日はすき焼きを作って隣の両親におすそわけしました。「私の味付けになってるから甘さが足りないと思います。調整して食べてください」と言ったら「はいはい」と笑っていました。

 

夫の家のすき焼きはとにかく甘いのです。肉に砂糖をまぶして煮た後に、ちょろっと醤油を垂らすといった感じ。初めて一緒に食べた時、1キロ入りの砂糖の袋を食卓にそのまま置いて、スプーンもなにも使わずに、そのままざあっと肉にかけるのでびっくりしました。実家の母に「お菓子みたいに甘くて食べられたもんじゃなかった」とこぼしたものです。

 

それから何年か経って、実家に行った時「たまには懐かしい我が家のすき焼きでも食べなさい」と母が作ってくれました。ところが、しょうゆの味が強く甘さも足りないと感じるのです。「おいしいね」と言いながら食べましたが、悲しいような寂しいような気分でした。とはいえ、今でも、私好みの味加減だと夫の口には薄味すぎて物足りないようですが。

 

ところで、「美味しいという言葉の重みを知っているか?」というエントリーが挙がっていました。それで思い出しましたが、夫は「おいしい」を言わない人でした。しかも絶対に何かケチをつける。今思えば、本人はアドバイスをしているつもりで悪気はなかったのかもしれません。

 

私は、結婚するまで料理をしたことがなかったし、料理下手という自覚があったので、何を言われても黙ってました。自分が腕をあげればいいことだからと思っていました。でも、ついに我慢できなくなり、ある日、「私の料理がおいしくないことはよくわかった。これ以上無理して食べてもらわなくていい。明日から外で食べてきて。もう作らない」と宣言しました。

 

夫は、ぽかんとした顔をした後に、しゅんとなって「……ごめん…。」と言いました。そして、それからは何を食べても「おいしい」と言う人になりました。しかし、時すでに遅し。私は自己肯定感が低く猜疑心が強い性格なので、にっこり笑って「ありがとうね」とリアクションしながらも(どうせ、本当はおいしくないんでしょ。いいよ、気をつかわなくて)としか思えませんでした。子供達が「おいしい!」と言ってくれる時だけ(今日は上手にできたかな)とうれしかったです。

 

ヘルパーの仕事を始めて、利用者の方から「おいしい!」「あなた料理が上手ね」とほめてもらえることも増えました。それでも最初は(お世辞でしょ)と思っていましたが、複数の人から評価されることで、少しずつ自信がつきました。夫も、何を出しても「おいしい。ありがとう」と言っていた頃(かなりびくついていたと思う)と比べて、わりと正直に、でも私の気分を害さないように、料理の感想を言うようになりました。

 

私が腐されながら黙って料理を出していたのは約5年です。ちょっと我慢しすぎました。もう少し早く「たまにはおいしいって言ってよね。がんばって作ってるんだよ」と言えばよかったなあと思います。

 

www.kyounoryouri.jp

夫の両親に対して「お菓子じゃあるまいし、肉をキャラメリゼする⁇」って内心毒づいていた私。土井先生のレシピを見て黙るしかなかったです。

 

土井家の「一生もん」2品献立 (講談社のお料理BOOK)

土井家の「一生もん」2品献立 (講談社のお料理BOOK)

 

 昔、従妹の結婚祝いに贈った一冊。初心者には良いと思ったのですが、その後「婚家で肉じゃがを作ったら、おかしいって(←味か作り方か不明)笑われた」と言っていたことを人づてに聞きました。もしかして、この本のレシピのせいかなあと、ちょっと気にしてしまいました。

 

 

追記

どうして5年も我慢したかというと、おいしいと言って欲しかったから。労いからではなく。

 

実は今でも(あの時キレたせいで、夫の本心はもう永久に分からない)と後悔してるとこもある。どれだけ猜疑心が強いんだ、自分。

 

「がんばって作ってるんだから、たまには美味しいって言って」と要求したり、それに応えたりする関係の方が結婚生活はスムーズに行く気がする。でも、そういう関係に全く魅力を感じないんだよなあ。結婚、向いてない。