ここのところ、急にまた肌寒い日が続きます。こういうの「花冷え」っていうのかな。手元の「新歳時記」(虚子編)を開いたら
花 櫻の花をいふのである。花には花特有の季語も少なくない。例へば花の雲・花吹雪・落花・花屑・花埃・花の塵・花の雨・花冷・花便・花守 等。
となっていて、「花冷え」が入った句は載っていませんでした。残念。「花冷え」と「寒の戻り」って同じように思っていましたが、「花冷え」は桜が咲く頃に急に寒くなることで、「寒の戻り」は立春から4月にかけて寒さがぶりかえすことだ知りました。
ここまで書いて外へ出たら、今日はぽかぽかと暖かかったです。庭のチューリップがそろそろ終りです。今年はディスカウントストアで安い球根を何種類か買いました。そのうちの一つは「ピンク」と書いてあったのに少し黒ずんだような変な色でした。他はまあまあでしたが、園芸店で買ったものに比べると色も形も見劣りしました。安物買いは良くなかったです。気に入らなかった色の花は、もうしおれていたのでそのまま抜いて捨てました。ちょっと可哀想だけど。
チューリップを抜いて捨てるとき、気がとがめて、石垣りんの「シジミ」を思い出しました。
「シジミ」 石垣りん
夜中に目をさました。
ゆうべ買ったシジミたちが
台所のすみで
口をあけて生きていた。
「夜がアケタラ
ドレモコレモ
ミンナクッテヤル」
鬼ババの笑いを
私は笑った。
それから先は
うっすらと口をあけて
寝るよりほかに私の夜はなかった。