子供の頃、アガサ・クリスティにはまってた時期があって、早川文庫に入っているものは全部読みました。当時は表紙絵が眞鍋博さんで、それも楽しみでした。最近、BSでポアロやマープルものの放送があっているので懐かしく見ています。元々はマープルがでてこない作品をマープルものに改変してあったり、原作と全然違う内容になっているものもありますが。
クリスティには素人の若い男女が活躍する作品がいくつかあって子供の頃の私はどれも好きでした。その中の一つに、ラストシーンで「愛よりも好きということのほうが大事」といったニュアンスのセリフがでてきて、「??」と思ったことがあります。中学生の私は、LoveよりLikeのほうが軽い言葉の気がしていたので。
時折、あれはなんていう作品だったのかなあと気になっても、手元の本は全部処分しているのでうまく確かめられないし、本屋であたりをつけてページをめくってみても探せませんでした。『茶色の服の男』『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』『蒼ざめた馬』のどれかと思ったけど違うし。
それがBSで「殺人は容易だ(MURDER IS EASY)」があっているのをみて(あ、これも原作はマープルは出てこなかったはず)と思い出し、近くの古本屋で確かめてみたらビンゴ! 以下のセリフがでてきました。
「好きだということは、愛していることよりもずっと大切だと思うわ。長つづきするから。あたしはあたしたちの間でいつまでもつづくものがほしいのよ、ルーク。ただ愛し合って結婚して、おたがいにあきてしまって、ほかの人と結婚したくなるようなことは、したくないわ」
”Liking is more important than loving. It lasts. I want what is between us to last, Luke. I don't want us just to love each other and marry and get tired of each other and then want to marry some one else."
「なるほど、わかったよ。あなたは現実性を求めているわけだ。ぼくもそうさ。ぼくたちの間にあるものは、きっと永遠につづくだろうーーなぜなら、それは現実に根ざしているからね。」
”Oh! my dear Love, I know. You want reality. So do I. What's between us will last for ever because it's founded on reality.”
……「現実性」?? 愛という抽象的、意志的なものではなく、実際に抱く感情ということなのかな。
今は眞鍋博さんの表紙絵じゃないんですね。残念。
この頃、見ているドラマです。私がイメージするマープルとはかなり違うんですけど、可愛い顔して「うふっ」とかいいながら、えぐいことやるとこが好きです。「殺人は容易だ」はなんかひたすら陰鬱な話に改変されてました。あまり好みじゃなかった。でもまあ原作もおぼろげにしか覚えてないんですが。