元活字中毒主婦の身辺雑記

日常の細々したことなど。

10年越しのボタンつけ

もう10年以上前に、母がコートをくれました。実家に行くと「安く布を買ったから作ってみたの。あんたにあげる」「ボタンは自分で買ってつけて」と渡されました。その頃は子どもも小さく、灰青色のウールのコートは汚しそうで、そのまま洋服ダンスにしまいこんでしまいました。子どもが少し大きくなった頃、私は体調を崩して必要最低限の家事をするのが精一杯でした。コートに合うボタンを買いに行って自分でつけるということがどうしてもできず、コートはずっと洋服ダンスにかかったままでした。

 

数年前、ようやく体調も戻り友達と旅行に行った神戸でのこと。お互い単独行動をすることになり、高架下のお店を覗きながら歩いていると古いボタン屋さんをみつけました。初老の店主にコートの色を説明して、一緒に選んでもらいました。かなり古いお店で、もうボタンの数が揃っていない箱も多かったです。ティファニーの空色の小箱が置いてあったので、それをコートに見立てて合うかどうかボタンを置いて試してみました。貝を樹脂で固めた茶色のころんとしたボタンと、金属製の銀色のボタンのどちらにするか悩み、結局二種類を8個ずつ買いました。「この頃は、こんなボタンはもう作っていなくて手に入らないんですよ」と店主のおじさんが懐かしそうに手の上でころがしました。きれいなボタンでうれしかったけれど、数も多かったし結構な値段になったっけ。

 

さて、帰ってきて合わせてみると、どちらもしっくりこない。ボタンが高級すぎてなんだかおかしいのです。第一、貝ボタンのほうは大きすぎてボタンホールに入りません。とりあえず金属製のボタンをつけたものの、着る気になれなくてそのまま。コートはまたずっと洋服ダンスにかかったままでした。

 

今年に入って、身の回りのものを整理する中で、(このコートどうしよう)......よく見ると裏地に点々とシミがでているし捨てた方がいいのかな。母も「そんなコートあげたっけ? 全然覚えてないわ」というくらいだし。でも、それもあんまりな気がして。結局、クリーニングに出し、今度こそ失敗しないようにコートを手芸店に持ち込んで実際に合わせたうえでボタンを買いました。閉店バーゲンセール50%引きで買った一個80円のボタンです。シミ抜きをしたせいか、一度も着ていないのに娘から「なんかぼろいね」と言われました。かわいそうなコートだけれど、私の体に合っているせいか着心地がいいし暖かいのです。もっと早く似合うボタンをつけてあげればよかったなあ。

 

くまのコールテンくん (フリーマンの絵本)

くまのコールテンくん (フリーマンの絵本)

 

 

ズボンのボタンがとれていることに気づき、デパートの中を探し回るぬいぐるみのクマくんのお話です。子供達が小さい頃「世界絵本箱シリーズ」というヤマハから出ている名作絵本の映像版がお気に入りでした。「くまのコールテンくん」はアニメーションではなくて実写で、ぬいぐるみが可愛かったなあ。DVDで出てたはず!と思って検索したら絶版みたいです。悲しい......。