塾で小学生を対象に国語と算数を教えていますが、ほとんどが勉強ができない子達で、どうやったらわかってもらえるのか、毎回悩んでいます。教材は、テキスト、ドリル、テストの3つが用意されています。基本的に学校の授業で習ったところの復習です。授業ではテキストを開いて説明しながら一緒に問題を解き、ドリルの該当部分を宿題に出し、一つの単元が終わったら授業中にテスト……という流れなんですが、テキストの基本中の基本部分で授業が終わってしまいます。たとえば、小学4年生の「角度」のところだと、分度器の目盛りの読み方を理解させるのに30分。学校で習ったはずなのに40度の角度を140度と間違います。内側の目盛りを読んでいいのか外側の目盛りを読んでいいのか分かっていません。「目盛りの0から数えて行くよ」「140度は90度より大きいよね? おかしいと思わない?」と聞くと「あ、そうか」というんだけど、一週間後に聞いてみるとまた間違う。190度とか、280度とか、分度器で測って足し算や引き算をしないといけない角度になると、もうめちゃくちゃ。ようやく理屈がわかっても今度は計算間違うし。とことん教えていると「角度」だけで一学期が終わってしまう。なのでしかたなく次の単元に進んで行きます。週に一回、国語算数各30分でできることは限られているけれど、なんとか学力をつけてあげたいなあ……。
昨日は、新規に5年生が入ってきましたが、算数だと「垂直、平行」の意味が分からない、というかそもそも「垂直」の漢字が読めません。国語の小テストの問題文を音読させたら漢字の半分が読めませんでした。お母さんとも話しましたが、最初は「家では学校の宿題をさせるのが手一杯で、それ以上の勉強はできそうもない」と言われました。親が子供の勉強みるのは精神的にも時間的にも大変なのは私も経験上重々承知ですが、それじゃ来る意味ないですよ、週一回一時間でできることは限られてますよ、という話をして、おおまかな今後の方針を決めました。国語は音読と漢字を中心に、算数は小学4年生のテキストを利用。家で、国語の問題文はふりがなをふって読んでくる、宿題は必ずする、という約束をしました。
最初は、なんでここまで勉強ができないのかが理解できませんでした。でも、自分が小学生の頃、ものすごい運動音痴だったことを思い出しました。ボールを投げたら1メートル先に落ちる、バレーのサーブを打ったら空振りするレベル。低学年の頃はスキップもできませんでした。私の体育のできなさ具合も普通の子から見たら理解不能だったろうなあ。ふりかえってみると、「できない」という思い込みがよくなかった気がします。どうせできないと思っていたからどうやったらできるか考えもしませんでした。小学生レベルの体育や勉強は努力すればそこそこできるようになると思うのです。実際、友達が根気よく練習につきあってくれたおかげで鉄棒の逆上がりはできるようになりました。問題はどうやって「自分でもできるかも」という気持ちをもてるか。小さいことでもいいから何か成功体験ができるといいのだけれど。